
数学の時間、第2回です。
今回は、高校数学の根底であり、かつ受験まで最後までついてくる因数分解や、因数定理などで登場する「因数」という存在について。
単純にSkypeで出てきた話題をそのまま使っているだけですが。いわゆる手抜きです。
因数・素因数
まず、因数という言葉の意味。因数とは、
「整数(整式)を構成する整数(整式)」のことを言います。例えば、x^3+3x^2+2xという整式があったとします。これを因数分解しますと、
x^3+3x^2+2x=x(x+1)(x+2)となります。つまり、xの3次の整式x^3+3x^2+2xは、xの1次の整式x,x+1,x+2の積で表せます。
このx,x+1,x+2は、x^3+3x^2+2xの
因数といいます。
また、このように、与えられた整数や整式を、因数の積の形に表すことを、
因数分解といいます。
次に、整数の因数分解を考えます。整数である限り、整数を因数分解した時、その因数の最小単位は必ず素数になります。この、
整数の因数で、かつ素数であるものを、その整数の素因数といいます。また、整数を素因数の積の形に表すことを、
素因数分解といいます。105を例に挙げると、次のように素因数分解できますね。
105=3×5×7このとき、105の素因数は3と5と7ですね。自然数においては、自然数の正の約数が、その自然数の素因数となります。
剰余の定理と因数定理
数IIで学ぶことですが、せっかくなのでここで説明します。まず剰余の定理から。
xの多項式(次数は1次以上とします)P(x)をxの1次式(x-α)で割った時の商をQ(x),余りをRとしますと、P(x)は次のように表せます。
P(x)=(x-α)Q(x)+R(このときxの恒等式であるという意味で=を≡にしても構いませんが、それは今回無視します)
この表示は、前回の整数の表し方と同じですね。このときに、右辺をRだけにしたいとします。
そういう場合に、xに何を代入するか。x-α=0となってくれればよいと考えると、x=αですね。
よって、x=αを代入しますと、
R=P(α)となります。
つまり、
P(x)を(x-α)で割った時の余りは、P(x)にx=αを代入したP(α)に等しい、というのが剰余の定理です。この剰余の定理を利用したものが、因数定理です。
因数定理では、R=0の場合、つまりP(x)が(x-α)を因数に持つ場合を考えます。
このとき、P(x)は、
P(x)=(x-α)Q(x)と表せますね。なお、商であるQ(x)の次数は、xの1次式である(x-α)で割っているため、もちろんP(x)の次数より必ず1小さいです。
「結局のところ、因数定理ってなんなの~?」って感じですが、要するに、
「P(α)=0となる実数αが存在すれば、P(x)は(x-α)を因数にもつ」という定理です。
ちなみに、αの候補は、
±(定数項の約数)/(最高次の係数の約数)になります。これだけでαの候補として挙げられてくる数の個数は大分減ります。参考にどうぞ。
因数分解をすることの意味
高校生になってすぐだったり、展開することを覚えた中学三年生にたまにいるのが、「因数分解するより展開する方がいいじゃん!」っていう人かな?
そういう人に言いたいことは、展開よりも圧倒的に因数分解の方が便利だということです。
展開が映える機会は、本当に少ないです。多分一部の不定積分とかその辺くらいです。
因数分解をすることによって、何が起こるか。
まず、とても綺麗に見えます。何かの積に表せるということだけで、色々情報が見出せます。
例えば、前回の不定方程式など。5x+3y=11を例に挙げます。
例によって、この方程式を満たす(x,y)を探します。今回は(1,2)とかですね。このとき、定数項を消去して、
5(x-1)+3(y-2)=0
5(x-1)=3(2-y)となります。3と5は
互いに素(1以外に公約数を持たない)なので、この等号が成立するためには、(x-1)が3の倍数、(2-y)が5の倍数でなければなりません。したがって、一般解が求まりますね。
使い回しでアレですが、不定方程式→(因数)×(因数)=(因数)×(因数)の形にすることで解が見えてきます。
他にも、xのn次式P_n(x)=a_n*x^n+a_(n-1)*x^(n-1)+...+a_0は、虚数(実数以外の数で、実際に実在しない数)を含めて、xの1次式の因数をn個持ちますね。つまり、xのn次方程式P_n(x)=0は、n重解や虚数解を含めて、n個の解を持ちます。これは、
代数学の基本定理といいますが・・・。まあ知っておいた方が便利かなあくらいで。
因数分解なんてものは高校数学において、本当に基礎の基礎であって、ここから少しずつ掘り下げていって初めて高校数学の深みに入っていく訳ですから、因数分解をサボったりするのはマジでやめた方がいいです。せめてここくらいでも真面目にやってみてください。最初の方は作業みたいでつまらなく感じるかもしれませんが、いずれパズル感覚で解けるようになるものです。
ということで、今回は因数分解についてお話させていただきました。
多少足りない部分があるかもしれませんが、もし決定的に足りない部分があれば、是非ご連絡ください。
次回は複素数と複素平面についてお話するかもしれません。
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- 2013/03/17(日) 22:17:30|
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