今回は,ある一点を支点として回転するコマの運動について考える.
この問題で最後に得られる微分方程式は,今の自分では解けないため,とりあえずそこまででメモは打ち止め.
☆今回用いる一般化座標一般化座標は,今回は直交座標ではなく,オイラー角を用いる.
なぜなら,コマは支点を通る鉛直線まわりにも回転するし,支点とコマを結ぶ動径まわりにも回転する.
この回転運動を扱うには,直交座標は難しくなりすぎる.
コマが剛体であることも考えると,オイラー角を一般化座標に選ぶのが都合がよさそうだからである.
さて,オイラー角φ,θ,ψを一般化座標に選んだ.
先に述べた通り,コマは回転運動をしているから,慣性主軸まわりの角速度を一般化座標で表したい.
直交座標系O-xyzから回転座標系O-ξηζに変換するには,以下の手順を踏む.
①z軸まわりにφ回転(x軸→x'軸,y軸→y'軸)
②y'軸まわりにθ回転(x'軸→x''軸,z軸→ζ軸)
③ζ軸まわりにψ回転(x''軸→ξ軸,y'軸→η軸)
ω_(z)=φ',ω_(η)=θ',ω_(ζ)=ψ'である(φ,θ,ψのプライムはドットのことである)から,慣性主軸まわりの角速度をまとめて書くと,
\[ \begin{eqnarray*}
\left( \begin{array}{ccc} \omega_{\xi} \\ \omega_{\eta} \\ \omega_{\zeta} \end{array} \right) &=& \left( \begin{array}{ccc} \cos\psi & \sin\psi & 0 \\ -\sin\psi & \cos\psi & 0 \\ 0 & 0 & 1 \end{array} \right) \left( \begin{array}{ccc} -\sin\theta & 0 & 0 \\ 0 & 1 & 0 \\ \cos\theta & 0 & 1 \end{array} \right) \left( \begin{array}{ccc} \dot{\varphi} \\ \dot{\theta} \\ \dot{\psi} \end{array} \right) \\
&=& \left( \begin{array}{ccc} \dot{\theta}\sin\psi-\dot{\varphi}\cos\psi\sin\theta \\ \dot{\theta}\cos\psi+\dot{\varphi}\sin\psi\sin\theta \\ \dot{\varphi}\cos\theta+\dot{\psi} \end{array} \right) \tag{3.1}
\end{eqnarray*} \]
となる.
☆ラグランジアンを求める一般化座標を決定して,回転座標系に関する角速度を求めたのはいいが,うまく座標軸を決定したい.
今回は,支点とコマの中心を通る半直線(いわゆるコマの軸である)をζ軸としよう.
こうすると,コマの対称性から,慣性乗積はすべてゼロになる.また,ξ軸まわりの慣性モーメントとη軸まわりの慣性モーメントが等しくなる.
ξ軸,η軸まわりの慣性モーメントをI_1,ζ軸まわりの慣性モーメントをI_2とすれば,運動エネルギーKは,
\[
K=\frac{1}{2} \left[ I_1(\omega_{\xi}^2+\omega_{\eta}^2)+I_2\omega_{\zeta}^2 \right] \tag{3.2}
\]
となる.コマの質量をM,コマの重心が最下点からlの位置にあったとすれば,ポテンシャルエネルギーUは
\[
U=Mg\ell\cos\theta \tag{3.3}
\]
となるから,(3.2)(3.3)より,ラグランジアンは
\[
{\cal L}= \frac{1}{2} \left[ I_1(\omega_{\xi}^2+\omega_{\eta}^2)+I_2\omega_{\zeta}^2 \right]-Mg\ell\cos\theta \tag{3.4}
\]
である.さらに,ここに(3.1)を代入して整理すれば,
\[
{\cal L}= \frac{1}{2} \left[ I_1(\dot{\theta}^2+\dot{\varphi}^2\sin^2\theta)+I_2(\dot{\varphi}\cos\theta+\dot{\psi})^2 \right]-Mg\ell\cos\theta \tag{3.5}
\]
となる.
☆循環座標とホロノミックな系さて,ここで,一般化運動量を考える.
(3.5)より,ラグランジアンにはφおよびψは含まれていない.
したがって,φおよびψは循環座標となる.つまりp_φおよびp_ψは定数となる.
\[ \begin{align*}
p_{\varphi} &= \frac{\partial {\cal L}}{\partial \dot{\varphi}}=I_1\dot{\varphi}\sin^2\theta+I_2(\dot{\varphi}\cos\theta+\dot{\psi})\cos\theta=a \ ({\rm const.}) \tag{3.6} \\
p_{\psi} &= \frac{\partial {\cal L}}{\partial \dot{\psi}}=I_2(\dot{\varphi}\cos\theta+\dot{\psi})=b \ ({\rm const.}) \tag{3.7}
\end{align*} \]
また,この問題ではコマは剛体として扱っているから,つまりはホロノミックな系である.
したがって,ラグランジアンには時間tは含まれない.このとき,エネルギー保存則K+U=E(const.)が成立する.
つまり,(3.1)(3.2)(3.3)より,
\[
\frac{1}{2} \left[ I_1(\dot{\theta}^2+\dot{\varphi}\sin^2\theta)+I_2(\dot{\varphi}\cos\theta+\dot{\psi})^2 \right]+Mg\ell\cos\theta=E \tag{3.8}
\]
となる.
☆θの微分方程式を求めるさて,ここまで来れば,もうすぐゴールである.
ラグランジアンにはφとψの項がないことがすでに分かっている.
また,(3.6)(3.7)によって,φ'とψ'は定数で表せる.したがって,(3.8)をθ'とθのみに書き下すことが可能である.
実際に書き改めてみると,
\[
\frac{1}{2}I_1\dot{\theta}^2+\frac{1}{2}(a-b\cos\theta)+\frac{b^2}{2I_2}+Mg\ell\cos\theta=E \tag{3.9}
\]
となった.これはθ'とθしか一般化座標が含まれていない微分方程式である.
この微分方程式は,たとえば
\[
\frac{d\theta}{dt}=f(\theta) \tag{3.10}
\]
という風に書けたとすれば,両辺を積分する,すなわち
\[
\int\frac{d\theta}{f(\theta)}=\int dt \tag{3.11}
\]
によってθ(t)を求めることができるが,今回は楕円関数などを用いる必要があり,容易に解くことはできない.
現状では,ここをゴールとしておく.
解けるようになったら,また別の記事で再び触れるかもしれない.忘れないようにメモ,ということにしておこう.
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テーマ:物理学 - ジャンル:学問・文化・芸術
- 2015/07/21(火) 05:24:16|
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